実在の船
But a real voyage at last. - Titty (Ransome, Arthur. (1937) We didn't mean to go to sea. Cape. p.151.)
「釣り」と「帆走」、ランサムがこの二つに傾ける情熱は並々ならぬものがあります。生涯で最初の外洋帆船である「ラカンドラ(Racundra)」の航海はただ一つの航海記となって残っていますが、ウィンダミアに住んでいる間に書かれた物語も「ツバメ号(Swallow)」や「メイヴィス号(Mavis)」での帆走体験から生まれてきた航海記なのかも知れません。夜間航海、レースの様子、難船の場面、さらには氷上ヨットまで、その描写は実に細部におよんでいます(おかげで「帆走入門書」を読まないとなんのことやら分からない箇所もあるのですが・・・)。ブローズを舞台にした二つの作品、そして北海横断を描いた7作目にもランサム自身の経験がふんだんに盛り込まれているはずです。
ランサムが20歳の時に出会った初代「ツバメ号」をはじめとして、物語に登場する様々な船をとり上げます。
CONTENTS
Topics
帆走の日々
ランサムが帆走した船の数々
初代ツバメ号
ランサムが帆走を覚えた初代ツバメ号
ツバメ号やアマゾン号
物語の主人公となった2ハイの船
Cochy(コキー)
スカラブ号のモデルになったディンギー
Esperance(エスペランサ)
フリント船長の屋形船「巨象号」のモデルとなった船
Racundra(ラカンドラ)
ランサムに航海記をもたらした夢の船
Norfolk Wherries
ノーフォーク湖沼地帯のNorfolk Wherries