12冊の物語
TO THE SIX FOR WHOM IT WAS WRITTEN IN EXCHANGE FOR A PAIR OF SLIPPERS
(Ransome, Arthur. (1930) Swallows and Amazons. early editionの献辞 1958年以降の版ではこの献辞は削られている)
アーサー・ランサム(Arthur Michell Ransome, 1884-1967)が残した12冊の1作目『ツバメ号とアマゾン号(Swallows and Amazons)』はスリッパのお返しに6人に捧げられています。アルトゥニアン家の6人、アーネストとドーラ夫妻、そしてタキ、スージー、ティティ、ロジャの4人の子どもたち。ランサムが彼らと一緒に過ごした1928年という年がなかったらこのサーガはおそらく誕生せず、ランサムの作家としてのキャリアも違ったものになっていたことでしょう。ジャーナリストとして一層名を馳せたかも知れませんし、あるいは「少年と釣りと老いた教師」の物語が代表作になっていたかも知れません。
でもあの1928年の夏と秋のおかげで、私たちは『ツバメ号とアマゾン号』に始まる12冊の物語を読むことができます。1929年3月24日にランサムはこの物語に取りかかり、3月29日には『せっせと物語を書いています(I am hammering at a story)』と母親に書き送っています(Brogan, Hugh.(1997) Signalling from Mars. Cape. p.163.)。
12冊の物語誕生の背景をたずねて90年あまりを遡ってみます。
CONTENTS
Topics
むかし北部の湖で
あの北部の湖、物語始まりの場所でのできごと
ツバメ号とアマゾン号
物語作家への道を選んだランサムに思わぬ巡り会いが訪れます
書かれなかった2作目
冬のブローズで子供たちがお話を作る
ツバメの谷
船乗りが船を失う。2作目は陸の物語となりました。
ピーター・ダック
子ども達の手になる物語
海へ出るつもりじゃなかった
私が一番好きな一冊
シロクマ号と謎の鳥
私が最初に読んだ作品
Coots in the North
未完の13作目、物語はブローズから始まります
挿絵のこと
挿絵について