SOFボート製作記ー2(ハルの造作まで)
モールドを外し正立させ、ハル内部の造作を行います
- ガンネル(inwale)
- スウォート
- ブレストフック
- フロアボード
2-0 ターンオーバー
モールドを外し、ハル内部造作のためにターンオーバーします。ちょうど自作仲間のTさんが見に来たいと言ってきたところだったので好都合、手伝ってもらいひっくり返してクレイドルに納めました。船を抱え体重計に乗り船の重さをはかってみたら5.2kgでした。片手で持てる。これにはビックリ。
さぁこれでハルが出来た。いや違う、出来たのは木製バスケットだ。ハルのプランキングを行う前に若干の造作をしておきます。
(2018/05/17)
2-1 インウェル設置
ハルの外側にガンネル(アウトウェル)、その内側にリブそしてインウェルがくるのでリブはガンネルのスペーサー(たった5mm厚だけど)になります。薄いとはいえこうしたスペーサーのあるガンネルはクラシックな趣があってなかなか良い。
インウェル設置はその両端をブレストフックにどのように納めるかと係るから、ブレストフックのデザイン次第と言うことになる。ここはいつもながら悩むところだけど、マニュアルの指示は単に合板をガンネルの上からペタッと張るだけ、それはあまりに簡易だしブレストフックにはディンギーのハル・パネルだったマリン合板を使うと決めたのでその納め方に頭をひねる。
せっかくスペーサーがあるから、アウトウェルと並行に走るインウェルを生かしたい。そこで補強材としてのブレストフック本体(米ヒバ材)とインウェルをマリン合板の厚みだけ落とし込んでその上にお化粧ブレストフックを接着することにしました。つまり、外側から米ヒバのアウトウェル、リブを延長したアッシュ材、そして一番色の濃いマリン合板が来て色の違う平行なラインが走ることになります。華奢な船だから重々しくはしたくないが、米ヒバもアッシュも幅の狭い材だから煩くはならないだろう。
まずはアウトウェルとステムの間に隙間があるのでここを埋める作業から。
ここにスペーサーと同じアッシュ材を延長して(できるだけ)ピッタリに納めます。
なにせ5mm厚の材、ステムに接するベベルを三方向とるためにカットするのは老眼には辛い。でもこのために買っておいた小振りの胴付鋸が活躍しました。
補強材としてのブレストフック(これは隠れて見えなくなる)にインウェルを嵌め込み、先端の300mm程の部分にお化粧材を落とし込みます。
インウェルを所定位置にクランプしてひとまず仮組。ここまでで丸一日の作業となり接着は翌日になりました。
(updated 5/24)
2-2 インウェル接着
インウェルを所定位置にクランプで固定し、アウトウェルとリブとインウェルを貫通し木釘(竹串ですが)を打っておくことにしました。エポキシの接着力に不安があるわけではないのですが、接着面が狭いのと材が細いから。まずエポキシが垂れてもいいように養生し、ドリルで竹串より少し太めの穴を開け、竹串にエポキシをつけてクルクル回し穴の中にエポキシを入れてやります。エポキシ硬化を待って余分なリブを切り取り、竹串をカットし、はみ出たエポキシを綺麗に研磨します。竹串の道管(というのかな?)がハッキリ見えて、塗装したらここに染みて色が濃くなり、淡色のガンネルとコントラストをなすでしょう。
2-3 ブレストフック設置
お化粧ブレストフックをマリン合板から型紙通りにバンドソーでラフカットし、リブの内側にピッタリ合うよう削っては当ててを何度も繰り返してようやく完成。たっぷりのエポキシを使い、どうしても出来てしまう僅かな隙間を埋めてくれることを期待します。
エポキシが完全に硬化してからブレストフック周囲を研磨し、構造材の内側を研磨したら木部の防水塗装を行います。ハルはまだできていないけれど、ここで木部塗装するのはスキンを張ってからだとスキンに塗料が染みてしまうからです。懸案だったブレストフックですがまぁまぁの出来上がり、一安心です。
(updated 5/26)
2-4 スウォート設置
バックレストを兼ねたスウォートの材はブームをちょん切ったもの。リブにガセット(受け)を嵌め込み、さらに内外のガンネル下部に接着しその下にスウォートを接着します。
ちょっと厄介なのはガゼットとの接合部が水平ではなく5度(マニュアルによる)の角度がついていることです。5度のラインを引くよりガゼットの角度を拾った方が正確だしピッタリいく。ガゼットとの接合部には木釘(竹串)を打っておきますが、これは補強と言うより位置決めの意味が強い。
スウォートが付くと途端にハル、じゃなくてバスケットの剛性が高まるから、バウの方にも付けたい感じ。
ガンネル等の縦長材はすでに研磨済み、ブレストフックもカンナとサンドペーパーで研磨したから次は木部塗装を行います。
(updated 2018/05/27)
2-5 木部塗装
スキンを張る前に木部内側に防水塗装を施しておきます。外側はまだ研磨(フェアリング)作業があるため塗装せず。使うのは床用ウレタン塗料のごくありふれたヤツ。初めて使う塗料だけど、肉盛りが良いと謳ってる割には粘度は低く、それほど厚い塗膜にはならないので好都合。ただし被塗装物は細い角材ゆえその手間はウンザリ一歩手前。腰を屈めての細かな塗装は辛い作業になるけれど、船の方を傾ければいいじゃないか。
写真はポートサイドの一回目塗装が済んだところですが、もっと色が濃くなるかと思っていたけれどそれほどでもない。縦長材は米ヒバ特有の黄色味がかった色合い、リブのアッシュ材はほとんど色が変わらないが、これは浸透しにくいウレタン塗料だからかも。スターボード側はまだ塗っていないが色の違いが分かるでしょうか。結構ケバ立つので二回目塗装の前に軽くサンディングしてやる必要がありそうです。
(updated 2018/5/28)
2-6 再度ターンオーバー
二回目の木部塗装を終え、使用した量は約280g。夏の気温で乾燥が速く、スキンに防水塗装するときにはリーターダーが必要なようです。ストリンガーの外側を滑らかなカーブにするため、特にバウとスターン付近のストリンガーは捻じっていないから、ハル外側を研磨しますが、そのために再度ターンオーバー。軽い艇体は一人で楽々ひっくり返せる。
(updated 2018/5/29)
2-7 フェアリング
スキン張りに備え木部外側をフェアリングします。まずはみ出たエポキシを#80の紙やすりで削りきれいにします。こんな番手はめったに使わないけれど、硬化したエポキシ削りにはこれ位の番手でないとすぐに目詰まりしてしまう。木片に巻き付け軽く動かしてやるとエポキシだけが削れていきます。数が多いから面倒な作業だけど、やっておかないと接着部が綺麗に見えない。
バウ(とスターン)付近のボトムに近いストリンガーは角材を捻らずリブに接着したため、角がハル・カーブから出っ張っています。写真のストリンガー3本のエッジはハル・カーブに合っていないのが分かると思います。バテンを当てながらここをまずスポークシェイヴで削り、その後こんな紙やすりをかけました。
大きなクルーザーのハルを船大工が二人がかりでこういう道具で研磨している動画を見たことがあるけれど、使っていたのは1mにもなろうかと思われる(曲げた板に張り付けた)紙やすり。ついつい電動工具(ベルトサンダーとか)を使いたくなるけれど、船のハルだもの、これ以外に方法はないですよね。
バテンを当て、横にずらしてみて浮きがないことを確かめながら削っていきましたが、使ったのは#120だから意外とあっさり研磨完了。研磨粉をタッククロスで拭い取ったら木部外側にウレタン塗装をしておきます。ただしキールソンとガンネルにはマスキングをしておきますが、ここにスキンを接着するから塗料が付かないようにです。
さて、これで次の工程、未知のハル補強とスキニングに移りますのでページを改めます。5月初めから一か月近く休みなく作業をしていたので、少しだけ休息を取ることにします。
(updated 2018/6/1)
2-8 フロアボード
外板もハル・パネルもないから人が乗るためのフロアボード(スノコ)が必要。とはいえ細いリブに取り付けねばならないからちょっと悩む。取り外し可能なようにリブにスノコの台木を嵌め込み、それにスノコ板をビス留することにしました。
リブのカーブを台木に写し取り、バンドソーでカット。リブを挟み込むようにリブの厚みより僅か薄い堅木を張り、エポキシで防水加工しておきます。
リブにキッチリ嵌りガタはありません。台木とスノコ板はエポキシで接着してありますが、念のためというよりお化粧として「-」の真鍮ビスで留めましたが、真鍮のローゼットをかましてあります。出来れば頭が平らで大きなトラスの真鍮ビスが欲しかったのだけれど、そんなもの売っていないから苦肉の策です。
この真鍮ビス、どこにでもある真鍮木ねじと違い根元まで溝が切ってあり、太さも根元から先まで同じ。これでラブレイルを留めようと思っています。
(updated 6/4)