近所に魚屋があるから時々覗きに行く。地の高級魚の御造りも置いているけれど、お目当てはイワシ。と言っても体格の良いマイワシじゃぁなくて、流通に乗ることのないスレンダーなヒコイワシ。採れた時しか並ばないし、昨今は海水温が高いためか磯焼けが酷くとんとお目にかからなかった。

「今日も入ってないのよ」と言われると、「じゃ、また」と言ってくるのだけど「あの人、ヒコイワシしか買わない」と思われてるだろうな。たまには手に入るから部分強化で消去抵抗が高く、今日も覗いてみたらありました。50匹(位)とお願いし、ふと隣を見たら模様の違う別のイワシがある。「こっちはマイワシの小さいの、ウルメイワシもあるけどお刺身用」と教えてくれた。網膜の奥にオイルが含まれていて眼がウルウルして見え、誰かさんの瞳を思い出させるウルメイワシ。でもほんの少ししかなかったそうで、すでに刺身用に断頭後だったからウルウルした眼は見られない。

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50匹のヒコイワシをこれからクリーンにし小分けして冷凍。骨も尾びれも取らないから、もっぱらアヒージョの具材としていただく。最近読んだ本にこうあった。

オオカミはそれぞれの瞬間をそのままに受け取る。わたしたちにとって、それぞれの瞬間の意義は、他の瞬間との関係によって決まるし、瞬間の内容は、これら他の瞬間によって救いようがないほど汚されている。わたしたちは時間の動物だが、オオカミは瞬間の動物だ(「哲学者とオオカミ」)。

たまには良いことがあるんだなと感じた瞬間。

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