S&Gのカヤックはディンギー製作のための習作として造った。1号艇は米国から入れたキットから、2号艇は設計図から木取し、軽量化を図り、エポキシ作業習熟のため色々試行を重ねた。1号艇はマリン合板で、そのベアハル重量は17kg。2号艇は14kgに納まったから、マリン合板ではなくハルの色味がちょっと気に食わないけれど、その軽さは扱いやすかった。直進性を増すためにどちらにも小さなスケグを取り付け、イヌ乗せる時にロールを抑えるためビルジ・キールまで付けた。


でも Splitsen が出来上がった今、船が3ハイあると置き場にも困るから「木のカヤックに乗りたい」と言う友達に譲ることにしてあった。昨日(6月27日)彼女が取りに来て、10分ほどのお家まで一緒に引いて行った。「波が木の船体に当たる音って素敵ですよね。じゃぁ、お借りしますけど、使うときはいつでもそう言って下さいね」と言ってくれ、お礼にと「芦兵衛(アシベ)」のアップルパイをくれた。

同じ型の2ハイ目だからキチンと造られていて、1号艇よりずっと設計図通りの形状になっているはず。自分が造った船だから思い入れはあるし、手放すのはちょっぴり気がとがめたけれどいなくなるわけじゃないし、お別れでもない。友達がこのカヤックに乗って楽しんでくれれば、その方が嬉しい。

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外板は3mm合板だから陸で飛び乗ったら割れるよとか、岩場に乗り上げたら壊れちゃうよとか、これ用のWernerのパドルはディンギーに積んであったから無くなっちゃって悪いねとか、色々知って置いてもらいたいことを伝え、バイバイしてきた。そろそろ塗装のやり直しをしなくちゃいけない時期にきてるから、このシーズンが終わり冬になったら、工房まで運んできてニスを剥がして再塗装をしてあげよう。


そういえば、この船には名前を付けていなかった、ゴメンよ。でも淋しくなんかない。だって何もかも来ては去っていくのだから、海の波のように。

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