海へ出るつもりじゃなかった
フリッシンゲンと本の写真だけ
"So that was what you felt like after an all-night passage single-handed in a ship of your own"-John (Ransome, Arthur. We didn't mean to go to sea. p.32 (Cape, 1937)
私の一番好きな作品。いつか、海へ出ようと思った、自分で作った木造艇で。
I shall be going to sea some day. --- John.
Vlissingenの港
「鬼号」がたどり着いたのはオランダ。水先人に連れて行かれたところはオランダ南部ジーラント Zeeland)と呼ばれる地方のフリッシンゲン(Vlissingen/Flushing)、Schelde川河口の港町でした。4kmもある河口の対岸、ベルギーのブレスケンス(Breskens)まではフェリーが通っていて、夏の観光シーズンを除けば料金はただ。ここからブルージュまではバスで1時間ほどです。
ブリュージュからそうやって訪れたフリッシンゲンでしたが、あいにくの深い霧。北海から冷たく厚い霧が押し寄せ景色などなにも見えず、ただ霧笛があちこちから聞こえてくるだけ。「鬼号」が漂い出た対岸の英国ハリッジもきっとこんな風だったに違いありません。そんなわけで、どの写真も暗くピンぼけです。
水門の外にある桟橋:おそらく水門に入る前に船を仮係留するための桟橋でしょう。向こうは北海なのですが、生憎なにも見えず・・・
水門:ここには大小4本の水門が平行してあります。開きかけている水門の向こうが外海。ロックに船が入り水位が調整されると信号が青に変わって、船はもうひとつの水門を抜けて内港に入っていきます。
ロックを抜けていくタグボート:タグボートがロックを抜けて内海へ入っていきます。
船尾に「VLISSINGEN」の文字が見えます。
船尾の形に注目:最も幅広のロックを抜けたすぐのところに、モーター・クルーザーがもやってありました。トランサムを見ると母港はスウェーデン。右の船の絞られた船尾の形は確かにスカンジナビア・スタイルに思われます。ランサムの最初のクルーザー、「ラカンドラ」もこういう船尾をしていました。
私の宝物
初版は1937年出版。これは1958年に出たlate edition(22刷)ですが、ハーフタイトルにランサムのサインがあります。1997年9月14日、ロンドン、ラッセル・ホテルでのブック・フェアへ古本を漁りに行った時あるストールで見つけました。
古本では残っていることの少ないブック・カバー
Cape Greenと言われる緑色のハードカバー
ハーフタイトルに書かれたランサムのサイン