新艇 Splitsen を本日10時秋谷海岸にて進水させました。OBANをバウ・ブレストフックに注ぎ、「あなたには Nancy の部材が使われている。決して去ったりしないように、頼むよ」と呟き、KAZIのI氏、M氏それにアーサーと飼い主のS氏(SUPでご登場)に見守られて、つつがなく処女航海を終えました。と言いたいところだけれど、なんと言ったら良いか、フルコースというか完璧な進水式となりました(フフフ)。


この先ずっと南風が強そうで進水式向きではないので、昨日I氏より連絡があり急遽進水式決行となった。9時半にはいらしたI氏とM氏に木製カヤックを引いてもらい海岸まで。二人とも乗る気満々の服装だし、風も波も穏やかだから絶好の進水式日和。(やけに大きさが違って見えるけれど、これは写真だからでどちらも12ft)

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カート(前日に慌てて作った)で引いていくのが全く苦にならない軽さ(ベアハルで7.5kg)。砂浜にカートの車輪がめり込むこともなく、一人で軽々とカートから降ろせる。いざ乗り込もうとするとカヤックでは経験したことがないほどクルッとロールして、おっとアブナイ。艇重量は船の大きなキャラクターの一つ、漕ぎだしはもちろんのこと、波に揺られても、曲がるために傾けても、その挙動が軽いこと軽いこと。

カヤックで伴走し写真を撮っているM氏から、すぐそばギリギリを漕いで通り過ぎろと言われたり、I氏が防波堤で望遠レンズを構えているからあっちへ行け、防波堤の先で行ったり来たりしろ、I氏に向かって漕げなど色々注文を出されるけれど、初体験のボートで時には「オット、危ない」とバランスを崩しかけたりしてるから必死な形相(で写ってると思う)。


一度浜へ戻り、M氏にもI氏にも Geodesic Airolite Boat なるものがどんな感触か体験してもらった。大柄なI氏を送り出し、見ているとバランスとるのに苦労している様子。カヤックで後を追ったのだが、コースを変えようとし波を横から受けるようになり、バランスを崩したらあっけなくチン。すかさずカメラを取り出し、レスキューそっちのけで証拠写真撮影(その様子は敢えて秘す)。彼の名誉のために言っておくと、Splitsen は見かけは華奢で綺麗だが、決して安定性高くノンビリ乗っていられる船ではない。

オープンデッキだから完全な水船状態。さてどうしたものかと思っていると、そこへSUPに乗った(当然アーサーも一緒)S氏がレスキューに登場。Splitsen を軽々持ち上げて水を出し、I氏をSUPの後ろに掴まらせて浜へ漕いで行った。私がカヤックで Splitsen を曳航し、「KAZI誌編集者、取材に訪れた進水式でチン」とクスクス笑いながら、なんだかとても幸せな気分で浜まで帰った。そんなこと全く気にせずSUPに乗り、伏せて前を見ているアーサーがなんとも愉快。

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船の強度については製作者本人が一番不安に思っていたけれど、海上で軋んだりすることは全くなかったし、もちろん水が漏れてくることもなかった。浜で4人してあれこれお喋りしながら、Nancy の進水祝いに貰った魔法瓶に入れてきたコーヒーを飲んでいた時、S氏が「これお祝い」と渡して下さったのがスプライスした3つ撚りロープ。感激でした。Sさん、どうもありがとうございました。

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一度乗っただけだけれど、このままで帆走は無理だと悟った。そのためにはアウトリガーが必要だろうけれど、この美しい艇体にアウトリガーつけるのは気が進まない。まずやるべきは浮力体(エアバッグ)とフォア・デッキの増設でしょうね。ダクロンの余分があるから、これは直ぐにもできる。それにきちんとしたシートも必要だし、フット・ブレイスもあった方が良い。体がグラグラしなければ少しはバランスも取り易いだろう。というわけで、またまた作業計画立案ですね。

(追記)
自分が写っている写真を送っていただけたら、後日アップします。Splitsen についての記事(さしずめタイトルは「高齢者向け軽量ボートの自作」か?)は8月発売の9月号に掲載予定だそうです(編集上の都合で決定ではないけれど)。

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