ツバメ号やアマゾン号

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 自伝の最終章*1、ランサムは1929年3月24日に『ツバメ号とアマゾン号』を書き始めたとあり、その構想をこんな風に記しています*2

ある架空の一家の子どもたち、2ハイの船。私が生み出した4人の子どもたちが別の2人の子どもたちと出会う・・・

 この2ハイの船こそウォーカー家の4人の子ども達が乗るツバメ号であり、2人のアマゾン海賊が操船するアマゾン号です。


ツバメ号(the Swallow)

 アマゾン号と同じくらいの全長を持ち、少し幅の広かったこの船の大きな特徴はランサムが物語の中で詳しく述べているように、センターボードをもっていないことでしょう。そのかわり15cmほどの木のキールを備えたこの船は当時としても珍しいものだったと思われますが、彼女の生い立ち-砂州が広がる浅い海で荷物を運んで帆走するために生まれた-を思えば納得できます。

She has a keel about six inches deep. --- John *4

The Swallow was a sailing dinghy build for sailing on a shallow estuary, where the sands were uncoverd at low tide. *5

 アマゾン号より一つ少ない2本のスオートしかないこの船はセンターボードを持たないこともありとても広々していて、ウォーカー家4人のツバメ達が乗り組んでも少しも狭くなかったに違いありません。作品中のランサムのイラストを基にしたツバメ号の想像図(右の2枚)をMr. Stuart Wierの許可を得て掲載します。

ツバメ号 ツバメ号 ツバメ号

by permission of Mr. Stuart Wier and Mr. John Kohnen.

アマゾン号(the Amazon)

 その船は白い帆を持つガフ・リグで、重たい鉄のセンターボードを持ち、その船体は松材によるクリンカー張り。ニスによる塗装がされていました*3

The Amazon was a fine little ship, with varnished pine planking. She was a much newer boat than the Swallow, of the same length, but not quite so roomy.

 全長は13ftから14ft(3.96mから4.26m)、全幅はおよそ4ft(1.2m)でこれはツバメ号より1ft(30cm)ほど狭いものです。マストの長さは全長よりわずかに短いくらい。船尾と中央部そして船首部にスオートがあり、センターボード・ケースもあるためツバメ号ほどにはゆったりした感じはありません。修復され英国湖水地方ウィンダミア(Windermere)にある蒸気船博物館に展示されている彼女をみると、確かにすらっとした印象で小気味よい帆走ぶりが想像され、アマゾン海賊の持ち船にピッタリです。1997年に訪問したときに撮影した写真をご覧ください(写真ではペンキ塗りですが、その理由は下の実在の船で)。

アマゾン号 アマゾン号 アマゾン号

アマゾン号 アマゾン号 アマゾン号

書名

 ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』の原著タイトルは ”Swallows and Amazons”、「ツバメとアマゾン」つまり「(ツバメ号に乗っている)ウォーカー家の子供達と(アマゾン号に乗っている)アマゾン海賊達」の意味ですね。「ツバメとアマゾン」では何のことやらピンと来ませんから、邦訳に当たって小帆船の名前を書名にしたのは無理もないことでしょう。

実在の船

 物語の中のツバメ号アマゾン号にはそれぞれモデルとなった実在の船がありました。実在したメイヴィス号は作品中ではアマゾン海賊の船アマゾン号となり、実在のツバメ号は作品でもジョン船長の操船するツバメ号となっています。


*1 Ransome, Arthur.(1976) The Autobiography of Arthur Ransome. p.331. Cape
*2 I had for some time been growing intimate with a family of imaginary children. I had even sketched out the story of two boats in which my four(five including the baby) were to meet another two, Nancy and Peggy, who had sprung to life one day when sailing on Coniston, I had seen two girls playing on the lake-shore.
*3 Ransome, Arthur.(1930) Swallows and Amazons. p.123. Cape
*4 Ransome, Arthur.(1930) Swallows and Amazons. p.123. Cape
*5 Ransome, Arthur.(1930) Swallows and Amazons. p.27. Cape

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